36歳前後で転職を考え始めると、多くの人がまず立ち止まります。
「この年齢から動いて大丈夫なのか」「もう選択肢は限られているのではないか」
そんな不安が頭をよぎるのは、ごく自然なことです。
年齢、家族、年収、これまで積み上げてきたキャリア。
生活の基盤が固まる一方で、転職は“やり直し”ではなく人生全体への影響が大きい判断になります。
だからこそ、20代の頃のように勢いだけで決めるわけにはいきません。
36歳の転職で本当に大切なのは、「遅いかどうか」を誰かに判断してもらうことではなく、
今の自分にとって、どの選択肢が最も合理的かを整理することです。
私は38歳で転職を経験しましたが、その過程で強く感じたのは、36歳〜38歳という年齢は、仕事の得意・不得意や、企業が求める役割、そして自分の市場での立ち位置を冷静に見極めやすい時期だということでした。
この記事では、36歳の転職市場の現実を踏まえながら、後悔しないために押さえるべき考え方と、現実的な選択肢を整理します。
IT・エンジニア職を含め、これからの一歩を冷静に考えたい方のためのロードマップです。
なぜ36歳が“分岐点”なのか?
36歳は、企業から見たときも転職希望者本人から見たときも、キャリアの方向性が大きく分かれる年齢です。
若手ほど未経験に強く挑戦できるわけではなく、40代ほど管理職前提の評価を求められるわけでもない。
まさに“職種変更を含めたキャリア再構築が可能な最後の年齢”といえます。
企業側が36歳に期待する3つのポイント
採用側の視点を整理すると、36歳採用で見られるのは次の3点です。
① 再現性
企業が最も知りたいのは、
「この人は、うちでも同じ成果を再現できるか?」
という点です。
私の場合、過去の各転職で
- なぜ辞めたのか
- そこで得た経験・反省点
- 次の職場でどう活かしたか
を構造的に説明したことで、「経験の再現性が高い」と評価されました。
この部分は面接官の反応が最もよかったポイントでもあります。
② 安定性(定着しそうか)
36歳は「長期的に働いてもらえるか」が重視されます。
転職回数が多いと警戒されがちですが、理由の一貫性が説明できれば問題ありません。
私は転職回数が多い立場でしたが、すべての転職に「理由 → 得たこと → 反省点」を体系立てて伝えたことで、むしろ好印象につながりました。
③ 伸びしろ(改善意欲)
この年齢帯に「完璧なスキル」は求められていません。
企業が見ているのは、今のスキルをベースにして“今後も改善し続けてくれそうか” という姿勢です。
読者の方にもこれをぜひ伝えたいのですが、“36歳からの転職は改善意欲が武器になる”というのは本当です。
30代後半と40代の採用基準は何が違う?
30代後半
- 業務理解
- 調整力
- 開発 or 運用経験
- 社内折衝
- 言語化能力
このあたりを“総合力”として評価されます。
未経験寄りの職種変更も、ギリギリまだ可能です。
40代
40代に入ると採用基準が大きく変化します。
- 管理職としての成果
- 組織を動かす力
- 高年収に見合う即戦力性
- 専門スキルの深さ
こうした条件が揃わないと採用が難しくなります。
つまり36歳〜38歳は“キャリアの路線変更を現実的に選べる最後の年代”なのです。
36歳のIT市場のリアル(求人の傾向と年収帯)
求人の中心は「事業会社 × 業務理解型 IT職」
最近の募集傾向としては、技術だけではなく、“業務理解 × 課題整理 × 調整力” が評価される以下のような職種が増えています。
- 社内SE
- 情シス
- ITサポート
- 内部DX
- 非エンジニアとの橋渡し業務
これは、AI(生成AI)の台頭やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速により、単に「指示通りにコードを書く」「技術を使いこなす」だけの層が飽和しつつあるためです。
以前よりもEQ(心の知能指数)が重視されるようになってきてますので、「技術は基礎レベルだが、業務理解や調整力は強い」というタイプでも十分勝負できます。
年収帯の相場
36〜38歳のIT転職で多い年収帯は次のとおりです。
- 470万〜600万円:ボリュームゾーン
- 600〜700万円:社内SE/DX系で業務理解強め
- 700〜800万円台:マネジメント+業務理解+調整力
私は最終的に 700万円 の提示を受けましたが、これは「システム構成図を業務視点で説明できる」という業務理解 × 再現性 が評価された結果だと感じています。
36歳という年齢が、実際にどのように見られているのかは気になるところだと思います。
採用側の視点から「36歳は転職に遅いのか」を整理した記事もありますので、あわせて参考にしてください。
36歳のIT転職で選ぶべき職種
経験が浅い人ほど「職種選び」で9割決まります。
36歳でIT転職を考えるとき、最も重要なのは「今の自分に合った職種を選べているか」 です。
ここでいう「経験が浅い」とは、次のような状態を指します。
- 開発経験はほとんどない
- コーディングは業務の中心ではなかった
- ITサポート、運用、調整業務が中心
- SESや派遣で現場経験はあるが、自信が持てない
この状態で、いきなり「自社開発エンジニア」「即戦力プログラマー」を狙うのは、現実的とは言えません。一方で、36歳・経験浅めでも勝ちやすい職種は確実に存在します。
なお、「未経験」と一言で言っても、実際の状況は人によって大きく異なります。
36歳で未経験ITを目指す場合の現実と判断基準については、こちらの記事で詳しく整理しています。
前提:36歳の主戦場は「技術力」ではなく「業務理解」
経験が浅い36歳が評価されるポイントは、最新技術やコーディング量ではありません。
企業が見ているのは、次のような力です。
- 業務を理解しようとする姿勢
- システムを「業務の流れ」で説明できる力
- 関係者と調整し、物事を前に進める力
- 自分の立ち位置を理解して動けるか
これは、私自身が38歳で転職活動をした際、実際に評価されたポイントでもあります。
この前提を踏まえて、職種を見ていきましょう。
社内SE(経験浅め36歳の最有力候補)
社内SEは、経験が浅い36歳にとって最も現実的で成功率の高い職種です。
理由は明確で、社内SEでは次の力が重視されるからです。
- 業務部門との調整力
- ベンダーコントロール
- システム構成の理解
- 運用・改善視点
「自分でコードを書く量」よりも、“業務とシステムの橋渡しができるか” が評価されます。
ITサポートやSES/派遣で、「ユーザー対応をしてきた」「業務システムを触ってきた」「現場の困りごとを聞いてきた」こうした経験がある方は、企業側からは 完全未経験ではなく“即戦力に近い人材” と見られます。
ITサポート・情シス(経験が浅い人の現実的な入口)
ITサポートや情シスは、経験が浅い36歳が「無理なく入れる」職種です。
主な業務は以下のようなものです。
- PC・アカウント管理
- ネットワークの一次対応
- ヘルプデスク
- 社内問い合わせ対応
ここで重要なのは、「技術力」よりも「対応力・理解力・説明力」 が評価される点です。
実務経験が浅くても、「相手の話をきちんと聞ける」「分からないことを整理して聞き返せる」「問題を切り分けて報告できる」こうした姿勢があれば、十分に戦えます。
QA/テスター(業務理解型のポジション)
QAやテスターは、開発経験が浅くても、業務理解力と論理性で評価される職種です。
求められるのは、
- 仕様書を正しく読み取る力
- 業務フローを理解する力
- 不具合を整理して伝える力
「プログラムを書く」よりも、“なぜその不具合が問題なのか”を説明できるか が重要になります。
SESや派遣で「テスト工程に関わった」「仕様確認をした」「不具合報告をしてきた」という経験があれば、36歳でも十分に現実的な選択肢です。
自社開発(狙うなら“業務寄り”に限定)
自社開発は、経験浅め36歳にとって難易度が高いが、完全に不可能ではない領域です。
ただし狙うべきは、
- 業務改善ツール
- 社内向けシステム
- 小規模開発チーム
- 要件定義や調整が多いポジション
といった 「業務理解が重視される開発」 に限定されます。
「最新技術でゴリゴリ開発」ではなく、業務を理解し、形にする役割が求められる環境です。
まとめ:経験が浅い36歳は「戦える土俵」を選ぶ
36歳のIT転職では、「自分は経験が浅いから不利だ」と考える必要はありません。
重要なのは、
- 技術力で勝とうとしない
- 業務理解・調整力で勝つ
- 自分が“完全未経験ではない”ことを整理する
この3点です。
職種選びを間違えなければ、36歳・経験浅めでも、転職は十分に現実的です。
経験が浅い36歳が避けるべきなのは、次のパターンです。
- 技術特化型エンジニア職をいきなり狙う
- 若手前提の育成ポジション
- 自分の経験と無関係な業務内容
- 「何でもやります」と軸のない応募
これらは、一次面接にすら進めない原因になります。
ここでは考え方を中心に整理しましたが、36歳エンジニア転職を前提に「現実的に選びやすいIT職種」を比較した記事も用意しています。
年収490万円→500万円の壁と突破戦略
36歳で「評価が止まる人」と「一段上に行く人」の分かれ目
36歳前後のIT転職では、年収490万円〜500万円前後 に“見えない壁”があります。
実際、求人を見ていると
- 450万〜480万円
- 500万〜550万円
というレンジは多い一方で、「あと10万円」を超えられない層 が一定数存在します。
私自身も、この壁を強く意識した一人でした。
なぜ「490万円→500万円」が分かれ目になるのか
この10万円の差は、単なる金額の違いではありません。
企業側の評価ロジックが、ここで切り替わります。
490万円まで:
- 実務担当者
- 指示を受けて動ける人
- 与えられた仕事をこなす人
500万円以上:
- 業務を理解して動ける人
- 周囲を巻き込める人
- 再現性を持って成果を出せる人
つまり、「作業者」から「業務を動かす側」へ移れるかどうかが、このラインで見られているのです。
36歳で年収が伸び悩む人の共通点
36歳で年収が500万円に届かない人には、いくつか共通点があります。
① スキルを「作業ベース」で語っている
- Javaを書きました
- サーバーを触りました
- テストをやりました
これだけでは、評価は頭打ちになります。
これは、企業側から見ると「指示があればできる人」「代替可能な人」に映るからです。
作業内容だけでは、その人がどこまで考えて動いたのか、判断したのかが分かりません。
結果として、年収を上げる根拠が見えず、「今の年収帯で十分」と判断されてしまいます。
36歳以降は、作業の量よりも、判断・改善・影響範囲が評価の対象になります。
② 業務視点が抜けている
企業が知りたいのは「その作業が、何のために必要だったのか」 です。
- その機能は、どの業務を改善したのか
- その対応で、誰が楽になったのか
- どんな課題を解決したのか
ここを語れないと、年収は上がりません。
③ 「評価されない環境」に居続けている
これは非常に多いケースです。
- 評価基準が不明確
- 年功序列
- 上が詰まっている
- 成果が給与に反映されない
どれだけ頑張っても、構造的に年収が上がらない会社 は存在します。
私が38歳で転職を決断した理由も、まさにここにありました。
私が以前在籍していた会社では、客先常駐でITディレクターとして業務を行っていましたが、会社自体の主な事業は業務委託や派遣でした。そのため、社内にはITディレクターという役割を適切に評価する基準が存在せず、成果を出しても給与に反映されにくい構造でした。
このように、会社の事業モデルと評価制度が噛み合っていなかったことで年収が伸びない場合もあります。
500万円の壁を超えるポイント
私自身が500万の壁にぶつかったのは2013年の転職の時で、2020年の転職の時は年収500万を超えていたため、私自身は転職を契機に500万の壁を突破したわけではありません。
ただし、採用面談を行っていた視点から考えると、“評価される形で経験を説明すること” がとても大切になってくることは間違いないです。
以下は、私が38歳の転職で年収が大幅にアップしたときの戦略です。
① システムを「業務の流れ」で説明した
面接では、システム構成図やデータフローをそのまま説明するのではなく、
- このシステムは、どの業務を支えているのか
- なぜこの構成になっているのか
- 障害が起きると、業務にどんな影響が出るのか
を、業務視点で説明しました。
この説明前後で、面接官の反応が明らかに変わったのを覚えています。
② すべての転職理由を「反省込み」で語った
転職回数が多いことは、確かに突っ込まれました。
しかし私は、
- なぜその転職を選んだのか
- そこで何を得たのか
- 今ならどう判断するか
を、過去にさかのぼって整理して説明しました。
結果として、「きちんと考えてキャリアを選択してきた人」という評価につながりました。
③ 「再現性」を意識して話した
私は「この会社でしか通用しない話」をしないよう意識していました。
- どの会社でも使える判断軸
- どの現場でも応用できる考え方
- 同じ失敗を繰り返さない工夫
これを説明できたことで、年収大幅アップとなる評価を得られたと感じています。
まとめ:500万円の壁は「能力」ではなく「視点」で超える
もしあなたが今、
- 頑張っているのに評価されない
- 年収が長年変わらない
と感じているなら、それは あなたの能力の問題ではなく、環境の問題 かもしれません。
36歳は、「今の会社でやり残したことは何か」「この環境で評価は本当に変わるのか」を見直すには、ちょうど良いタイミングです。
年収490→500を超えるための具体的な戦略は「年収の壁の理由と突破策」にまとめましたので、気になる方は是非ご確認ください。
36歳のIT転職で重要な3つの軸
再現性・安定性・伸びしろをどう示すか
36歳のIT転職では、スキルや資格よりも 「どう評価されるか」 が結果を大きく左右します。
その評価軸を整理すると、企業が見ているのは主に次の3点です。
- 再現性
- 安定性
- 伸びしろ
これは抽象的な言葉ですが、意味を理解して準備すれば、転職活動で強力な武器になります。
再現性:どの会社でも成果を出せるか
再現性とは、「その人の経験や成果が、別の会社・別の環境でも再現できるか」という視点です。
企業は、「この会社だからできた話」「この現場だけの成功体験」を最も警戒します。
再現性が低く見られる例
- 特定の製品・ツールの話しかできない
- 上司やチームに依存した成果
- 背景や判断理由を説明できない
再現性が低く見られるのは、成果の背景にある判断・工夫・他者との調整が説明されていないためです。
「何をしたか」だけでは、別の環境でも同じ成果を出せるか判断できず、評価が伸びません。
再現性が高く見られる例
- なぜその判断をしたのかを説明できる
- 業務課題 → 対応 → 結果の流れを語れる
- 別の環境でも応用できる考え方を持っている
私自身、転職活動ではシステム構成やデータフローを「業務の流れ」と結びつけて説明することを意識していました。この説明ができたことで、「この人は環境が変わってもやれる」という評価につながったと感じています。
安定性:この人は定着するか
36歳の採用では、「長く働いてくれるか」 という視点が必ず入ります。
特に、転職回数が多い場合は安定性をどう説明するかが重要になります。
安定性が低く見られる説明
- 転職理由が毎回違う
- 不満や愚痴が中心
- 「合わなかった」で終わる説明
安定性が低く見られるのは、同じ判断ミスや転職理由を繰り返すリスクを感じさせてしまうからです。
転職理由が感情的だったり一貫性がないと、長く定着し成果を積み上げられる人材か判断できず、評価が慎重になります。
安定性を高める説明の考え方
- なぜその選択をしたのか
- そこで何を学んだのか
- 今ならどう判断するか
私は、過去の転職について、すべて整理して説明しました。
安定性を高めるには、転職理由を「環境」ではなく「判断基準」で説明することが重要です。
その時点で何を優先し、何を学び、次にどう活かすのかを一貫して語れると、長期的に働く姿が想像されやすくなります。
伸びしろ:これからも成長するか
36歳になると、「今後どれだけ伸びるか」を厳しく見られるようになります。
ここで重要なのは、“現時点のスキル量”ではありません。
伸びしろが感じられない人の特徴
- 現状に満足している
- 学ぶ理由が説明できない
- 将来像が曖昧
伸びしろが感じられない人は、過去の成果だけを語り、改善点に触れません。
「今後どう成長したいか」「何を補いたいか」が見えないと、学習意欲が低いと判断されやすくなります。
伸びしろが評価される人の特徴
- 課題を自分の言葉で説明できる
- これから何を強化したいかが明確
- 「2年後どうなりたいか」を語れる
私自身、面接では「2年後を見据えて、今の環境でやり残したことはないか」という視点を大切にしていました。
このように、自分の不足を認識し、改善点を言語化し、次の行動まで示せる姿勢が、「この人はまだ伸びる」と評価された理由の一つだと感じています。
「今のスキルが足りないのでは」と感じる場面もあるかもしれませんが、36歳で重要なのは闇雲な学習ではなく、不足を見極めて補うことです。
具体的な考え方は、「36歳がスキル不足を補う方法」で整理しています。
3つの軸を、どう転職活動に落とし込むか
再現性・安定性・伸びしろは、特別なスキルがないと示せないものではありません。
重要なのは、
- 経験を整理する
- 判断理由を言語化する
- 将来の方向性を語る
この3点です。
36歳の転職は、「若さ」ではなく「整理された経験」で勝負する年代です。
まとめ:36歳転職は“評価される準備”が9割
36歳のIT転職で結果を分けるのは、能力差よりも 準備の差 です。
- 再現性をどう示すか
- 安定性をどう説明するか
- 伸びしろをどう伝えるか
この3軸を意識して準備すれば、36歳でも転職は十分に現実的で、キャリアを一段上に引き上げることができます。
IT業界の構造理解(必須基礎)
36歳の転職は「業界構造を知っているか」で難易度が大きく変わります。
36歳からのIT転職では、スキルや経験と同じくらい、IT業界の構造を理解しているかどうか が重要になります。
なぜなら、IT業界は「どの業態に属しているか」で
- 評価のされ方
- 年収の上がり方
- キャリアの伸び方
が大きく変わるからです。
ここを理解せずに転職すると、「また同じ壁にぶつかる」可能性が高くなります。
SIer・SES・自社開発の基本構造
まずは、IT業界の代表的な3つの業態を整理します。
SIer(システムインテグレーター)
SIerは、「要件定義」「設計」「開発」「運用」をまとめて請け負う会社です。
特徴は以下のとおりです。
- 案件単位で仕事が回る
- 人月評価になりやすい
- 上流工程ほど評価されやすい
- 組織が大きく、分業が進んでいる
36歳以降は、「作る人」よりも「まとめる人」 が評価されやすくなります。
SES(システムエンジニアリングサービス)
SESは、人を現場に常駐させて価値を提供するビジネスモデルです。
特徴は以下のとおりです。
- 客先常駐が前提
- 評価は「どの現場に入っているか」に左右されやすい
- 社内評価と現場評価がズレやすい
- スキルより稼働が重視されることがある
特に36歳以降は、自分の役割が会社の評価制度と噛み合っているかを意識しないと、年収が伸びにくくなります。
自社開発・事業会社
自社開発や事業会社では、「自社サービス」「社内システム」が主な対象になります。
特徴は以下のとおりです。
- 成果が事業に直結する
- 業務理解が強く評価される
- 調整力・改善力が武器になる
- 長期視点でキャリアを描きやすい
36歳以降は、技術力単体よりも「業務への影響度」 が評価軸になります。
情シス・社内SEという立ち位置
情シスや社内SEは、上記すべての業態と関わる “ハブ的な存在” です。
業務部門、ベンダー(SIer・SES)、経営層(管理者)の三者をつなぐ役割のため、
- 技術の深さより理解の広さ
- コーディング量より判断力
- 個人プレーより調整力
が評価されます。
36歳で経験が浅めでも、過去の現場経験や調整経験を整理できれば、十分に戦える領域です。
なぜ「構造理解」が転職成功に直結するのか
IT業界では、同じ仕事をしていても、所属する業態によって評価が変わるという現象がよく起こります。
例えば、
→客先常駐でITディレクターをしていても、 派遣・業務委託会社では評価基準が存在しない
→業務改善をしても、 成果が売上に紐づかないと評価されない
という状態です。
この構造を知らないと、「なぜ評価されないのか分からない」状態に陥ります。
これは個人ではなく会社側の構造による場合もありますので、36歳の転職では、入社後に後悔しやすい企業の特徴も知っておくと判断しやすくなります(36歳が避けるべき企業)。
36歳の転職で意識すべき視点
これから転職を考えるなら、次の点を必ず確認してください。
- 自分の役割は、その会社の評価制度に合っているか
- 成果がどのように給与に反映されるか
- 年齢が上がったときに評価軸はどう変わるか
36歳は、業界構造を理解したうえで“居場所を選び直せる最後の年代”とも言えます。
技術で勝つか、業務理解で勝つか、調整役に回るか。
重要なのは「何ができるか」ではなく、どのポジションなら評価されるかを基準に居場所を選ぶ視点です。
まとめ:業界構造を知ると、転職の「失敗確率」が下がる
IT業界の転職は、スキルだけで決まるものではありません。
- どの業態にいるか
- どんな評価制度か
- その会社で年齢を重ねたときに評価され続けるか
これらを理解して選ぶことで、「また同じ壁にぶつかる転職」 を避けられます。
業界構造を理解したうえで、現実的にキャリアを積み上げていく順序(SES→情シス→自社開発)については、こちらの記事で整理しています。
36歳の転職戦略(私の38歳転職ストーリー)
私は38歳で転職しました。
その時点で年収は約550万円。決して低くはありませんが、このまま在籍しても評価が大きく変わらないことを実感していました。
決定的だったのは、在籍企業が一部上場企業でありながら、有価証券報告書に記載されている平均年齢に達しても、平均年収に届いていなかったことです。
この数字を見た瞬間、「努力不足」ではなく構造的に評価されにくい場所にいると気づきました。
※有価証券報告書に記載されている平均年齢と平均年収には強い相関はありませんが、年功的な昇進カーブの会社においては一つの目安になると考えています
当時仲が良かった他部署のマネージャが、あるとき部長になりました。
その方にお祝いを伝えたときに「私は40歳になったときのポジションで、その後の会社から求められる役割が決まってくると思っている。」とお話されていたことも、転職動機に大きく寄与しています。
転職前にやったこと①:過去の転職をすべて言語化した
私は転職回数が多い方です。そこで、過去の転職について以下をすべて整理しました。
- なぜその転職を選んだのか
- そこで何を得たのか
- 今振り返っての反省点は何か
これを時系列で一貫したストーリーとして説明できるようにしました。
面接では、この整理そのものが高く評価されました。
転職前にやったこと②:「やりたいこと」より「評価されること」を優先した
以前の私は「今後やりたい業務」を前面に出していました。
しかし、これが理由で「うちではその業務は少ないですね」と言われ、落ちた企業もあります。
そこで方針を変え、
- その企業で求められている役割
- 今の自分が即座に価値を出せる領域
を話の軸に加えるようにしました。
自分が最終的にやりたいことを、業務として持っている会社かどうかは確認する必要がありますが、やりたいことは、評価されたあとに広げればいいと考えることも重要です。
転職前にやったこと③:システムを“業務の言葉”で説明した
面接では、システム構成図やデータフローをそのまま説明するのではなく、
- この仕組みがどの業務を支えているか
- どこがボトルネックだったか
- どう改善したか
を業務目線で説明しました。
このとき、面接官の反応が明らかに変わりました。
「技術が分かる人」ではなく、「業務を理解して任せられる人」 と見られた感覚があります。
36歳の読者に伝えたいこと
戦略を練って転職した結果として、希望していた年収を提示され、転職が決まりました。
重要なのは、「急にスキルが伸びたわけではない」「努力量が劇的に増えたわけでもない」という点です。
「どこで、何を評価されるか」その土俵を選び直しただけでした。
36歳は、業界構造を理解でき、自分の立ち位置を客観視でき、まだ方向修正が効く最後の年代です。
「この会社で評価されない=自分に価値がない」ではありません。
評価される場所に移動する戦略を取れるかどうか。それが、36歳転職の成否を分けます。
ここでは要点のみを紹介しましたが、38歳で転職を決断した背景や、うまくいかなかった時期も含めた実体験は、以下の記事で詳しく書いています。
36歳が最短で動くための具体ステップ
36歳の転職では、「何をやるか」以上に「どの順番で動くか」 が結果を左右します。
がむしゃらに求人を探したり、いきなり資格や勉強を始めても、遠回りになるケースは少なくありません。
SIer、SES、社内SE、自社開発など、それぞれ評価軸や求められる役割は異なります。
すべてを同時に狙うのではなく、「第一候補」「現実的な第二候補」「保険としての第三候補」という形で整理することで、応募書類や面接の一貫性が高まります。
ここでは、私自身が38歳で転職した経験も踏まえ、36歳が最短距離で転職を進めるための現実的なステップ を整理します。
ステップ①:現職の役割を“業務視点”で棚卸しする
まずやるべきは、スキルの洗い出しではありません。
「自分は会社の中で、何を支えているのか」 を整理することです。
- どの業務を止めると困るのか
- 誰の仕事を裏で支えているのか
- トラブルが起きたとき、何を判断してきたのか
この整理ができると、「作業者」ではなく「業務を理解して動ける人」として自分を位置づけられるようになります。
ステップ②:「できること」と「やってきたこと」を分けて考える
36歳の転職で重要なのは、“できる/できない”の線引きを正確にすること です。
- 実務として繰り返しやってきたこと
- 補助的に関わっていたこと
- 触れたことはあるが主担当ではないこと
これを混ぜてしまうと、応募先とのミスマッチが起きやすくなります。
「やってきたこと」を軸に職種を選ぶことが、結果的に最短ルートになります。
ステップ③:業界構造を前提に「居場所候補の優先順位」を明確にする
36歳は、業界のどこでも自由に選べる年齢ではありません。だからこそ、
- 社内SE
- 情シス
- 業務理解寄りの開発
- ITサポート上位ポジション
などから、どこを本命として動くのかの優先順位を明確にすることが重要です。
36歳の転職では、すべてを同時に狙うのではなく、最も再現性が高く、評価されやすいポジションを軸に据える必要があります。
本命・次点・保険という形で整理することで、応募書類や面接での軸がぶれなくなり、結果として通過率も上がります。
ステップ④:職務経歴書は“転職理由”から逆算して作る
36歳の転職では、スキル以上に 転職理由の一貫性 が見られます。
- なぜその職種なのか
- なぜその業界構造を選ぶのか
- なぜ今なのか
これが説明できるように、職務経歴書は「実績」ではなくキャリアの流れを説明する資料として作るのがポイントです。
ステップ⑤:応募と並行して「今の職場でやり切る」
意外かもしれませんが、36歳の転職で一番効くのは、転職活動中も現職で成果を出し切ることです。
- 業務改善
- 役割の拡張
- 調整役への立ち回り
これらはすべて、「再現性」「安定性」「伸びしろ」の裏付けになります。
私自身も、「今の会社でやり残したことはないか」を自分に問い続けながら転職活動を進めました。
まとめ:36歳は「一気に動く」のではなく「順番通りに動く」
36歳の転職は勢いで動くよりも、正しい順番で淡々と進めるほうが成功率は高いです。
- 業務視点で棚卸し
- できることを正確に把握
- 業界構造を前提に居場所の優先順位をつける
- 転職理由を一本の線で語れるようにする
このステップを踏めば、最短距離で次のキャリアに進むことができます。
業界構造を理解したうえで、現実的にキャリアを積み上げていく順序(SES→情シス→自社開発)については、こちらの記事で整理しています。
36歳以上の転職でよくある“誤解”
36歳以上で転職を考える方の多くは、事実よりも「思い込み」によって選択肢を狭めてしまっています。
ここでは、私自身の経験と、採用側の視点を踏まえて、特によくある誤解を整理します。
誤解①「36歳を過ぎたら未経験分野は無理」
これは半分正しく、半分間違いです。
確かに、「完全未経験での職種変更」「若手前提の育成ポジション」は難しくなります。
しかし実際には、
- ITサポート
- 情シス
- 社内SE
- QA/テスター
など、「経験が浅い状態からでも入りやすい領域」 は存在します。
36歳で問われるのは「未経験かどうか」ではなく、これまでの経験をどう転用できるか です。
誤解②「転職回数が多い=即NG」
転職回数が多いと不利になるのは事実です。
ただし、それは 理由を説明できない場合 に限られます。
私は転職回数について必ず聞かれましたが、
- なぜ転職したのか
- そこで何を得たのか
- 今ならどう判断するか
を一貫した軸で説明したことで、大きなマイナス評価にはなりませんでした。
回数そのものより、キャリアに一貫した考えがあるか が見られています。
誤解③「資格を取れば評価される」
36歳以上の転職では、資格は“補助材料”でしかありません。
特に、「業務と直接関係しない資格」「実務経験と結びつかない資格」は、評価にほとんど影響しません。
企業が知りたいのは、その知識を使って、どんな判断や改善ができたのか です。
資格は「説明を助ける道具」だと考えるのが現実的です。
誤解④「今の会社で評価されない=自分の能力不足」
これは最も多く、そして危険な誤解です。
会社のビジネスモデルや評価制度によっては、そもそも評価される指標が存在しない職種や役割 もあります。
私自身も、派遣・業務委託を主とする会社でITディレクターとして働いていた際、役割に見合った評価基準がなく、給与が上がらない状況にありました。
能力の問題ではなく、環境と役割が噛み合っていなかっただけ というケースは少なくありません。
誤解⑤「年齢的に、もう動かないほうが安全」
36歳で「動かない選択」をすると、40代に入ってから選択肢が一気に狭まります。
36歳は、
- 居場所を選び直せる
- 職種を調整できる
- 評価軸を変えられる
最後の現実的なタイミング です。
安全に見える現状維持が、数年後には最もリスクの高い選択になることもあります。
まとめ:誤解を外すだけで、選択肢は広がる
36歳以上の転職で重要なのは、無理に自分を変えることではありません。
- 思い込みを外す
- 現実的な土俵を選ぶ
- 自分の経験を正しく位置づける
この3点ができるだけで、転職の成功確率は大きく変わります。
もし「自分も当てはまっているかもしれない」と感じた場合は、36歳転職で失敗しやすい人の共通点を整理した記事も確認しておくと、判断を誤りにくくなります。
36歳のIT転職で成功する人/失敗する人
36歳のIT転職は、「優秀かどうか」よりも “どのように考え、どう動いたか” で結果が分かれます。
同じような経験年数・スキルを持っていても、成功する人と失敗する人の差ははっきりしています。
36歳のIT転職で成功する人の特徴
① 業界構造を理解したうえで「居場所」を選んでいる
成功する人は、
- SIer
- SES
- 社内SE
- 事業会社
といった業界構造を理解し、「自分が評価される場所」を意識的に選んでいます。
「どこでもいいからIT職」ではなく、自分の経験が評価されやすい領域に身を置くことができています。
② 経験を“再現性のある形”で説明できる
成功する人は、作業内容ではなく、
- なぜその判断をしたのか
- どんな課題をどう解決したのか
- 他社でも通用する考え方か
を説明できます。
これは年収500万円の壁を越える人に共通する特徴です。
③ 年齢を言い訳にせず、戦い方を変えている
36歳で成功する人は、「もう若くないから無理」とは考えません。
その代わりに、
- 技術特化で勝負しない
- 業務理解・調整力を軸にする
- 安定性・改善意欲を示す
と、年齢に合った戦い方へ切り替えています。
④ 最後までやりきっている
成功する人は、書類が通らない、不採用が続く、といった局面でも、分析→修正→再挑戦 を繰り返します。
転職活動を「感情」で終わらせず、
プロジェクトとして最後までやりきる姿勢があります。
36歳のIT転職で失敗する人の特徴
① スキル不足だと思い込み、戦略を変えない
失敗する人ほど、「自分はスキルが足りない」と考えがちです。
しかし実際には、評価されない場所で戦い続けているだけというケースが多く見られます。
② 作業内容だけを語ってしまう
- 〇〇をやりました
- △△を担当しました
といった説明に終始すると、36歳では「伸びしろが見えない」と判断されがちです。
評価軸が変わっていることに気づかないまま、20代と同じ自己PRをしてしまうのは典型的な失敗です。
③ 転職理由を整理しないまま応募を続ける
転職回数が多いこと自体よりも、理由を説明できないことが問題になります。
失敗する人は、
- なぜ辞めたのか
- 何を得たのか
- 次にどう活かすのか
を言語化しないまま応募してしまいます。
④ 途中で諦めてしまう
36歳の転職は、一次面接に進めない期間が続くことも珍しくありません。
ここで「やはり年齢のせいだ」と結論づけてしまうと、結果は出ません。
まとめ:成功と失敗を分けるのは「能力」ではない
36歳のIT転職で、成功する人と失敗する人を分けているのは、スキルや能力の差ではありません。
実際には、転職に成功している人の多くが「自分は特別に優秀ではない」と感じています。
違いが出るのは、自分の立ち位置を正しく理解し、業界構造や年齢による評価軸を踏まえたうえで、戦う場所を選べているかどうかです。
失敗する人ほど、過去の経験や肩書きにこだわり、自分が評価されにくい環境に固執しがちです。
一方で成功する人は、「どこなら評価されるか」「何を期待されているか」を冷静に見極め、準備を積み重ねています。
36歳の転職は、能力勝負ではなく、判断と選択の勝負なのです。
もし「自分も当てはまっているかもしれない」と感じた場合は、36歳転職で失敗しやすい人の共通点を整理した記事も確認しておくと、判断を誤りにくくなります。
最後に|36歳のIT転職は「やり方次第」で結果が決まる
36歳のIT転職は、決して簡単ではありません。
年齢、年収、家族、これまでのキャリアなど、考えるべきことが一気に増え、「このまま動いて大丈夫なのか」と不安になるのが普通です。
しかし、本記事で見てきたとおり、36歳はまだ“選び直し”ができる最後の年代でもあります。
重要なのは、能力の高さや最新技術ではありません。
- IT業界の構造を理解すること
- 自分が評価される「居場所」を見極めること
- 作業ではなく、業務・判断・再現性で経験を語ること
- 安定性と伸びしろを、言葉で説明できるようにすること
これらを整理できれば、36歳でも転職市場で十分に戦えます。
私自身、38歳で転職を経験しましたが、転職活動を通じて最も大きかったのは、自分のキャリアを客観的に棚卸しし、人生全体を考え直せたことでした。
もし今、「この会社でこのまま評価されずに終わるのではないか」と感じているなら、それは動くべきサインかもしれません。
大切なのは、一気に答えを出そうとしないことです。
まずは業界構造を理解し、自分の立ち位置を把握し、2年後を見据えて準備を始めてください。
36歳の転職は、焦らず、しかし止まらず、最後までやりきることが何より重要です。
その積み重ねが、次のキャリアにつながります。
